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ベンツがいい・オリジナルイメージ
ベンツのエアサス搭載車を整備する際には、一般的なサスペンション車とは異なる注意点があります。特にジャッキアップ作業では、エアサスの構造や制御の特徴を理解した上で、正確な手順を踏むことが求められます。
このページでは、ベンツのエアサスのジャッキアップの注意点とは何かを軸に、エアサスのジャッキアップの基本手順やジャッキアップ中のエンジン始動の危険性などを解説します。
さらに、エアサスのジャッキアップで壊れる原因やW205・W212・W222のエアサスの特徴、CクラスとSクラスのエアサスの注意点、GLCのジャッキアップモードの有無など車種ごとの違いについても整理しています。
また、エアサスのジャッキアップモードがない車種の対処法や、エアサス付き車両のジャッキポイント確認、外部診断機を使用する際の注意点、作業前に必ず確認すべき取扱説明書の項目まで網羅しています。
記事のポイント
①:エアサス搭載ベンツのジャッキアップ手順がわかる
②:車種ごとのジャッキアップモードの有無が理解できる
③:エンジン始動中のリスクと故障原因を把握できる
④:安全に作業するための事前確認項目がわかる
ベンツのエアサスのジャッキアップの注意点とは
- エアサスのジャッキアップの基本手順
- ジャッキアップ中のエンジン始動の危険性
- エアサスのジャッキアップで壊れる原因
- W205・W212・W222のエアサスの特徴
- Cクラス・Sクラスのエアサスの注意点
エアサスのジャッキアップの基本手順
エアサスペンションを搭載するベンツ車をジャッキアップする際には、一般的なサスペンション車とは異なる配慮が必要になります。特にエアサスは電子制御で車高を自動調整しているため、作業中の誤操作や無理解によって不具合を引き起こすリスクがあります。
まず最初に確認すべきことは、車両の取扱説明書にある「ジャッキアップ手順」です。エアサス付き車両にはモデルごとに専用の手順が用意されており、W213型などはエアボディコントロールという特殊な制御機能が組み込まれているため、必ずそれに従う必要があります。
作業前には、車両が水平な場所にあり、エンジンを完全に停止していることを確認します。次に、車両をジャッキアップするポイントを確認し、適切な位置にジャッキまたはリフトを設置します。ボディ側を持ち上げる場合と、アーム側を持ち上げる場合で影響が異なるため、事前の確認が重要です。
一部のベンツでは「ジャッキアップモード」や「車高固定モード」が搭載されている場合があり、このモードを事前に設定しておくことでエアサスの自動調整を停止させることができます。もしこの設定を怠ると、作業中にエアが抜けて車高が崩れる恐れがあります。
また、車載の外部診断機を使ってリフト作業用の手順に入ることも推奨されています。特に整備士が使用する診断ツールでは、車両側に作業モードを通知でき、システムにかかる負荷を軽減できます。
作業後は必ずエンジンをかけ、車高が正常に戻るか確認します。その際にエアサスの動作が鈍かったり、異常音がするようであれば速やかに点検が必要です。安全に作業を進めるには、車両の機構を理解した上で、段取りをしっかりと組むことが何より大切です。
ジャッキアップ中のエンジン始動の危険性
ベンツ車のエアサスペンション搭載モデルをジャッキアップしている最中にエンジンを始動させると、サスペンション系に深刻なトラブルを引き起こすことがあります。特にベローズと呼ばれるエアサスのゴム製構成部品に強い圧力がかかることで、破損のリスクが高まります。
通常、エアサスは車両の状態に応じて自動的にエアの供給や放出を行い、車高を調整します。このシステムはエンジンを起動した時点で動作を開始し、車両の四隅の高さを計測して自動制御を行います。ジャッキアップ中は車輪が地面から浮いた状態になるため、車両が誤って「車高が大幅に下がっている」と判断することがあります。
その結果、コンプレッサーが過剰に作動してエアを急激に送り込んでしまい、ベローズが膨らみ過ぎて破裂する可能性があるのです。このような状態では、センサーも正常に働かず、誤制御によってさらなる故障を誘発することも考えられます。
また、ベンツの一部モデルでは、エンジンをかけたままリフトアップを行った結果、車両が誤動作を起こし、エアサスの警告灯が点灯するケースも報告されています。これはセンサー類が想定外の動きを感知し、異常と認識してしまうためです。
ジャッキアップ中の安全を確保するためには、作業を始める前にエンジンを完全に停止し、キーも抜いた状態にしておくことが推奨されます。エンジンを止めておけばエアサスシステムは休止状態となり、不用意な動作を防げます。
なお、整備マニュアルや取扱説明書では、「エンジン停止中にジャッキアップを行う」ことを原則として明記している場合がほとんどです。この基本を守ることが、エアサスの破損を防ぐうえで非常に重要です。
エアサスのジャッキアップで壊れる原因
エアサスペンション搭載車をジャッキアップする際に、正しい手順を踏まなければ、サスペンション自体の故障を招くおそれがあります。エアサスが壊れる主な原因には、加圧・減圧の誤制御、物理的な過負荷、そしてセンサーの誤作動などが挙げられます。
とくに注意すべきは、ジャッキアップ中にエンジンを始動した場合に起こるエア圧の制御ミスです。車両が「異常に車高が下がっている」と判断し、エアコンプレッサーが通常以上の圧をかけてベローズを膨張させようとします。この過剰な空気圧によって、内部のゴム部品が破損するリスクが高まります。
また、ボディ側を持ち上げる場合にサスペンションアームが下方向に強く引っ張られ、可動範囲を超えたテンションが加わることでリンクやセンサーに負担が集中することもあります。こうした無理な力がかかると、部品が摩耗しやすくなるだけでなく、最悪の場合にはセンサーのキャリブレーションが狂い、警告灯が点灯する事態になります。
さらに、エアサス車は走行時の姿勢制御にセンサーの補正が必要な場合が多いため、ジャッキアップ作業後に車高が元通りにならないこともあります。これは、リフトアップ時に車両が誤認識した状態を記憶してしまい、そのまま制御がズレた状態で復帰するケースです。
故障を防ぐためには、車両ごとに定められた作業モード(ジャッキアップモードなど)を正しく設定すること、そして作業前に取扱説明書を確認して、仕様に応じた手順を守ることが欠かせません。
エアサスは快適性を高める優れた装備ですが、同時に精密でデリケートなシステムでもあります。適切な知識と注意をもって扱うことが、故障のリスクを大きく軽減します。
W205・W212・W222のエアサスの特徴
ベンツのW205、W212、W222といった各モデルには、世代ごとに異なるエアサスペンションの構造と制御機能が採用されています。これらのモデルに共通して言えるのは、いずれも高度な電子制御によって快適性と操縦安定性を実現していることです。ただし、ジャッキアップ時にはそれぞれ異なる注意点があります。
W205は主にCクラスの後期型にあたるモデルで、一部グレードにAIRMATICと呼ばれるエアサスペンションシステムが搭載されています。W205では明示的な「ジャッキアップモード」はありませんが、エンジン停止中であれば基本的には自動調整が働かないため、正しい手順を踏めば大きなトラブルにはつながりにくいとされています。
一方、W212はEクラスに該当し、こちらも後期型ではエアサス装備車が増えています。W212は車高の自動調整機能が比較的保守的に動作するため、ジャッキアップ時の影響も限定的ですが、やはりエンジン停止状態での作業が求められます。
最も慎重に扱うべきなのがW222です。Sクラスにあたるこのモデルでは、AIRMATICに加えて「マジックボディコントロール」というさらに高度な制御システムが採用されており、サスペンションの挙動が細かく調整されています。このため、ジャッキアップ時には誤動作のリスクも高く、作業前に必ず「ジャッキアップモード」または「車高固定モード」を設定することが推奨されます。
これらの違いから、同じベンツであってもモデルや年式によって対応が異なるため、整備前には車両ごとの仕様を確認することが不可欠です。見た目が似ていても内部構造やセンサー制御が異なるため、整備ミスが重大な故障につながることもあります。
知識に基づいた正しい判断が、エアサスの故障を未然に防ぐ大きなカギとなります。
Cクラス・Sクラスのエアサスの注意点
CクラスとSクラスに搭載されるエアサスペンションには、それぞれの車格や目的に応じた設計がなされており、整備時の注意点も異なります。どちらも快適性を重視した構造ですが、その分、作業時には細心の注意が必要です。
まずCクラスについて。Cクラスのうちエアサス搭載車は主に後期型のW205などに限定され、装着率もSクラスに比べれば少なめです。Cクラスには明確な「ジャッキアップモード」は用意されていないため、エンジン停止状態で速やかに作業を進めるのが基本です。診断機などでの事前準備はそこまで必要とされませんが、誤ってエンジンをかけたまま作業すると自動で車高が変わってしまうことがあるため要注意です。
一方でSクラスは、エアサスが標準装備となっているグレードが多く、ジャッキアップ時の誤操作が特にリスクを伴います。W222やW223では「ジャッキアップモード」や「車高固定モード」が設定可能で、これを使うことで作業中に車高調整機能が働かないよう制御できます。これらのモードを有効にしないと、作業中にサスペンションが動作し、ベローズが破損することもあります。
また、Sクラスではサスペンション周辺に配置されているセンサーの数も多く、リンク類に加わるテンションが誤って計測されると警告灯が点灯する場合があります。作業後に異常がないか、テスターでチェックすることが望ましいです。
このように、CクラスとSクラスでは装備の内容や作業時の対応が異なります。共通するのは、いずれも「エンジン停止」「車両仕様の把握」「モードの設定」が作業前の基本であることです。ベンツ車のエアサスは高性能な反面、デリケートな部分も多いため、慎重な取り扱いが欠かせません。
ベンツのエアサスのジャッキアップの注意点と車種別の違い
- GLCのエアサスのジャッキアップモードの有無
- エアサスのジャッキアップモードがない車種の対処法
- エアサス付き車両のジャッキポイント確認
- 外部診断機を使用する際の注意点
- ジャッキアップ後のサスペンション確認方法
- 作業前に必ず確認すべき取扱説明書の項目
GLCのエアサスのジャッキアップモードの有無
メルセデス・ベンツGLCに搭載されているエアサスペンションには、車両の年式やグレードによって設定が異なります。一部のGLCには「ジャッキアップモード」もしくは「車高固定モード」と呼ばれる機能が搭載されており、これはジャッキアップやタイヤ交換の際にサスペンションの自動調整機能を一時的に無効化するものです。
しかし、すべてのGLCにこのモードが備わっているわけではなく、初期モデルやエアサス非搭載のグレードではこの機能が存在しないケースもあります。そのため、整備を行う前にインフォテインメント画面やメーター内の設定メニューから、ジャッキアップモードの有無を確認することが重要です。
搭載されているモデルでは、モニター操作で「ジャッキアップモードを有効にする」項目を選択し、車高調整機能をロックしてから作業に入ります。この設定を行うことで、作業中に車体が自動で上下することを防ぎ、エアサスやセンサーにかかる負担を軽減できます。
一方で、ジャッキアップモードがない車両でも、正しく作業すれば特に問題なくタイヤ交換や下回り点検を進めることができます。鍵となるのは、エンジンを完全に停止した状態で作業に入ることと、車高調整が起こらないように慎重に扱うことです。
GLCのようなSUVモデルでは、足回りが複雑かつ電子制御の割合も高いため、誤ってモード設定をせずに作業を進めてしまうとトラブルの元になります。作業中のセンサー誤作動やベローズの膨張トラブルを避けるためにも、事前のチェックと設定は必須です。
安全かつ確実に作業を行うためには、整備士だけでなくオーナー自身も基本操作やモードの存在を理解しておくことが重要となります。
エアサスのジャッキアップモードがない車種の対処法
ジャッキアップモードが搭載されていないエアサス付き車両でも、適切な手順を踏めば安全に作業することは可能です。モードが用意されていないからといって、エアサスがすぐに壊れるわけではありませんが、注意点を押さえておかないと不具合の引き金になることがあります。
まず第一に行うべきなのは、必ずエンジンを完全に停止し、キーを抜いた状態で作業に取りかかることです。エアサスの自動制御はエンジンが動作している間に働く仕組みのため、通電状態を遮断することで、サスペンションの意図しない動きを防ぐことができます。
次に、リフトアップやジャッキアップの際には、車両の持ち上げポイントを正確に把握し、アームではなくボディ側の指定された箇所を使うようにします。誤った位置で持ち上げると、足回りに負荷がかかり、センサーやリンク類の誤作動を招く恐れがあります。
さらに、サスペンションが伸び切った状態で長時間放置するのも避けたい状況です。もし作業に時間がかかる場合は、タイヤを外した後にアームを軽く支持するなどして、過度なテンションがかからないよう配慮します。
また、作業後には必ずエンジンを再始動し、サスペンションが正常な位置に戻るかをチェックしてください。戻らない場合や車高が不安定なままの場合は、走行せずに専門業者に相談するのが安全です。
モードの有無にかかわらず、整備作業の前には取扱説明書を参照し、メーカー推奨の作業方法を確認しておくことがトラブル防止に直結します。モードがない場合は、手動でリスクを回避するための配慮が何よりも求められます。
エアサス付き車両のジャッキポイント確認
エアサスペンションを搭載した車両を持ち上げる際には、ジャッキポイントの確認が非常に重要です。誤った位置で車体を持ち上げると、ボディの損傷だけでなく、足回りのリンクやセンサーを破損する可能性もあるためです。
ベンツをはじめとする輸入車の多くは、車両のフロア部分に純正指定のジャッキアップポイントが設けられています。これらのポイントは、通常プラスチック製のカバーやマークで示されており、車両の四隅に配置されているのが一般的です。特にエアサス車は、アーム部分を誤って持ち上げるとセンサー誤作動を引き起こすことがあるため、ボディ側を基準にすることが基本となります。
作業前にまず確認するべきなのは、車両の取り扱い説明書です。取扱説明書の中には、各モデル専用のジャッキアップポイントが図解で示されており、これに従うことが安全な作業の第一歩です。W213やW222のように高年式車両では、サイドスカート内部にジャッキポイントが隠れている場合もありますので、見落とさないよう注意が必要です。
また、リフトやジャッキを当てる際には、ジャッキパッドのサイズと形状も重要です。純正の形に合わせた専用アダプターを使うことで、ボディや塗装の損傷を防ぐことができます。間違って細いジャッキの先端で押し上げてしまうと、フロアが変形するだけでなく、塗装剥がれやサビの原因にもなりかねません。
車体の重みが一点に集中しないよう、車両全体が水平になるように慎重に持ち上げるのも基本です。前後のバランスを崩すと、作業中に車両が不安定になり、重大な事故につながる可能性もあります。
エアサス付きの車は、通常の足回りよりも構造が繊細なため、ジャッキポイントの確認を怠らず、正確な位置にしっかりとセットすることが安全整備の前提条件になります。
外部診断機を使用する際の注意点
エアサスペンションを搭載したベンツ車に対して外部診断機を使用する場合、手順や注意点を誤ると不具合やシステムエラーの原因になることがあります。診断機は車両のコンピューターと接続し、各種モジュールの動作確認や制御を行う便利なツールですが、正しく使わなければ逆効果にもなり得ます。
まず診断機を使用する前に確認すべきことは、車両の通信が安定しているかどうかです。バッテリー電圧が低下している状態では通信エラーが起きやすく、プログラムの一部が中断されたり、モジュールが誤動作するリスクがあります。作業前には必ず十分なバッテリー電圧を確保しておくことが基本です。
また、エアサス関連の作業モードに入る場合には、診断機の画面に従って正確に操作を行う必要があります。例えば、「リフトアップ作業中」と車両に通知する操作を行うことで、車高制御システムが誤作動しないように制御されます。操作を中断したり、モードを解除し忘れたままエンジンをかけると、センサーやエアサスの制御ユニットにエラーが記録されることがあります。
さらに注意したいのは、診断機を接続中に車両を物理的に動かしたり、他の作業を同時進行で行わないことです。診断中にサスペンションが反応して車高が変化すると、設定中のデータが不正確になり、後の制御トラブルにつながる恐れがあります。
診断機の使用履歴が車両に記録されるモデルもあるため、安易に操作を試すのではなく、作業目的に応じた操作を確実に把握しておく必要があります。診断機の種類によっては操作方法が微妙に異なるため、使用マニュアルを確認しながら慎重に作業することが重要です。
このように、外部診断機を使用する際には、準備・操作・確認の各段階で慎重さが求められます。適切に使用すれば、エアサス車の整備において強力なサポートとなるため、知識と手順の確認が不可欠です。
ジャッキアップ後のサスペンション確認方法
エアサスペンション搭載車をジャッキアップしたあとは、必ずサスペンションの状態を確認する必要があります。作業中にエア漏れやセンサーの誤作動が起きていないかを確認しないまま走行を始めると、乗り心地の悪化や警告灯の点灯、最悪の場合には走行不能になることもあります。
確認作業は、車両をジャッキダウンしてから行います。まずは車高の状態を目視でチェックしましょう。四輪の車高が均等であるか、特定の一輪だけが沈んでいないかを正面と側面から見て確認します。エアサスは自動で水平制御を行うため、明らかに左右差や前後差がある場合は何らかのトラブルが疑われます。
次に、車両を平坦な場所に置いたままエンジンを始動します。この時、車高がスムーズに元の高さへ戻るかを観察してください。ベンツの場合、正常であればエアサスが自動的に圧を調整し、一定の高さまで上昇します。動作が遅い、あるいは音が異常に大きい場合は、エア漏れやコンプレッサーへの負荷が想定されます。
エンジン始動後の車高復帰が完了したら、メーターパネルに警告灯が表示されていないかもチェックします。特に「Suspension malfunction」などの警告が点灯している場合は、センサー異常や設定エラーの可能性があります。
さらに、軽く車両を押してみて、サスペンションの反応も確認しましょう。通常であれば、少し上下に揺れる柔らかい反応が返ってきますが、片側だけ異常に沈む、あるいは全く反応がない場合はサスペンションが機能していない可能性もあります。
最後に、短い距離を低速で走行し、段差の乗り越え時やカーブで異音や違和感がないかを確認します。異常が見られる場合は無理に走行せず、すぐに整備士に点検を依頼してください。
エアサスは見た目では分かりにくい不具合も起きやすいため、ジャッキアップ後の確認作業は必須と考えるべきです。
作業前に必ず確認すべき取扱説明書の項目
エアサスペンションを搭載したベンツ車を整備する際には、取扱説明書を事前に確認することが極めて重要です。多くの整備トラブルは、基本的な手順や注意点を確認しないまま作業を始めたことで発生しています。
まず、確認すべき基本項目は「ジャッキアップに関する記載」です。説明書の索引から「タイヤ交換」や「サスペンション」の項目を探し、その中にあるジャッキポイントやジャッキアップ手順を読み込むことが第一ステップです。車種ごとにジャッキアップポイントの位置が異なる場合があり、誤って違う場所を持ち上げるとフロアや足回りを損傷してしまう可能性があります。
次に確認すべきなのは、エアサスの制御に関する設定項目です。車両によっては「ジャッキアップモード」や「車高固定モード」といった作業モードが搭載されており、それらを有効にしてから整備を行うことが推奨されています。特にSクラスやGLCなどでは、画面操作によって作業用モードを有効化する必要があるケースもあるため、説明書の案内に従って設定しておくべきです。
加えて、「エンジンの状態」についても明記されていることがあります。ジャッキアップ中は必ずエンジンを停止し、キーを抜いた状態にするよう記載されている場合が多く、これを怠るとエアサスの圧力調整が作業中に作動して、センサー誤作動やベローズ破損の原因となることがあります。
さらに、診断機や専用ツールを使った作業が必要なモデルでは、その旨が注意書きとして記載されていることもあります。最近のモデルでは電子制御が複雑化しており、システムに負荷をかけないためには専用モードでの操作が求められることもあります。
このように、取扱説明書の内容は単なる参考資料ではなく、整備作業の前提を確認するための必須情報源です。予備知識があったとしても、車種ごとの細かな違いに対応するには、説明書を一読しておくことが整備の基本です。整備の精度と安全性を確保するためには、最初の準備として説明書の確認を欠かさないことが重要です。
総括:ベンツのエアサスのジャッキアップの注意点のまとめ
- 作業前に必ず取扱説明書で手順を確認する
- ジャッキポイントは車種ごとに異なるため確認が必須
- エンジンは完全に停止し、キーも抜いた状態で作業する
- ジャッキアップモードの有無は車種によって異なる
- モードがない車種は慎重な手動作業が必要
- 作業前に車体が水平な場所にあることを確認する
- エアサスはエンジン始動時に自動制御が作動するため注意
- エンジン始動中のジャッキアップはベローズ破損のリスクがある
- サスペンションアームを過度に伸ばさないようにする
- 外部診断機を使用する場合はバッテリー電圧に注意する
- 車種により診断機で作業モード設定が必要になることがある
- ジャッキダウン後は車高の均一性を目視で確認する
- 車高が正常に戻るかエンジン始動後にチェックする
- モデルによってはセンサーの誤作動で警告灯が点灯する場合がある
- 整備後に段差走行などで異音がないか確認する
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